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本の紹介: これからの正義の話をしよう

これからの正義の話をしよう
マイケル・サンデル
早川書房

先日から是非読んでみたいと思って手に取ったが、内容があまりに濃く、なかなか読み進めない。道半ばで、今日は経過報告を。

考えることを要求する本。考えることの大切さがわかる本。

あることが、正しいことなのかそうでないのか、といった従来の二者択一的議論を超えて、自分はどう考えるのか、また、なぜそう考えるのかということを自分に問うてみることを勧める本だ。

著者はそれぞれの例について正しいとも正しくないとも言わず、単にそれを判断する多様な面を私たちに提示してくれる。その上で、判断するのは私たちであり、何よりも、どうして自分はそう判断するのか、を考えるという点で、この本は深みがある。最終的な判断に至るか否かはここでは問題ではない。

一つ一つ提示される例題に対しての考察は、読むほどに脳みそをぐいぐい揉まれるような感じがする。それくらい、新しい観点が示され、深く考えさせられる。例として取り上げられる事象自体はそれほど珍しくない場合でも、その後に示される観点は、私にとっては新しいものであり、これが私の脳に今までなかった思考回路を形成するように思う。この感じが、脳が揉まれる感じだ。

挙げてある例が非常に興味をそそる。
単に分かりやすくするための例をはじめとして、実際にあった食人事件、殺人事件など、あっと驚くような事件を引き合いに出して、各章の項目となっているそれぞれの観点から事件を考察している。

下世話な話だが、世の中にはこんな事件がよくもあるものだ、と、好奇心という点でも私の心をくすぐるものがある。
by cahiersauvage | 2010-06-26 11:06 | 本の紹介