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考える: 捨てられた猫 

この間捨てられていた猫を引き取って以来、気持ちが沈んでなかなか持ち上がらない。

可愛い猫なんだけれど、甘えたい盛りなのに、親が違うせいか一緒に遊ぶということがない。それぞれがあっちにぽつん、こっちにぽつんと座っていたり、寝ていたりする。寝ているところはさすがに罪がない、気楽な感じがするけれど、じっと座ってどこかを眺めているところを見ると、ひどくかわいそうな気がする。えさを持って行ってやると、カンちゃんはニャー、ニャーと私の膝に載ってくるが、アビイは少しもそういうところがない。母親を少しも知らないのかしら。甘えるということを少しも知らないのかしら。あんまりかわいそうなので部屋に入れてやると、慣れないところに来たせいか、あちこち歩き回って落ち着かない。目を離した好きにヒューちゃんに無理やり遊びに誘われたりしては大変だと思って、やはり安全な鶏の柵の中へ返した。

一昨日獣医さんの所へ行った折りに偶然来合わせていた、猫を連れたおばあさんがいた。26年生きているという。そんなにも長生きで幸せだと思って、家の中で飼っているのかと聞いたところ、危ないから一歩も出さない、という答えだった。以前に、名古屋の都心のマンションの一室で12年飼われていた猫がいたが、さて、どうなんだろう。わずか数平方メートルの空間に閉じこめられ、野山を渡る風も、夏の夕立も、寒い冬の凩も、ネズミや魚の存在も知らず、生きてゆくことは。

どちらの場合も同じ程度に考えさせられる。
by cahiersauvage | 2010-06-10 20:05 | 考える