寒い時期は毎朝薪ストーブに火を付ける。この冬で三年目だ。一回目の冬、火を焚く方法を忘れてしまっていることに気が付いて愕然とした。ストーブを焚こうとしたところが、煙ばかり盛んに出てなかなか燃えない。人が原初に獲得した基本的な、かつ必須の技術を忘れてしまうとは!

が、その後だんだん思い出したり燃える様子を観察したりして、どうしたらうまく燃えるか見いだし、今年は部屋に煙を出すことなくうまく燃やせるようになった。

朝、まだ小暗い中で火がとろとろ燃えるのを見るのはとても好き。暖かく、気持ちがやわらかくなり、頭の中も澄んでくる。

この数年癒しという言葉をよく聞くが、私たちを癒してくれるのは森であったり、水であったりする。癒しを与えてくれるものは人の手が加わっていないもののように思う。ディズニーランドで癒されるという話は余り聞かない。また、体裁よく刈り込まれ、整然と並んだ街路樹にも、癒しは余り無いように思う。むしろ鬱蒼と茂った木立や、山の中を流れる小川、海辺に打ち寄せる波、そんなものに癒しを感じるのではないだろうか。

火も大きな癒しをもたらしてくれる。ずっと見ていても少しも飽きることがなく、頭の中の考えも落ち着いてくる。こういった人の手が加わらない原初の部分を生活のどこかに残しておきたいと思う。
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というわけで、昨日は従姉弟とその子供達、弟、父、娘とたくさん集まってくれて、ちょっと早い私の誕生日を祝ってくれた。こんなにたくさん集まるのは久しぶりで、とてもにぎわった。写真手前に映っている緑の服を着た若者はマジックの達人で、いろんなカードゲームをして楽しませてくれた。目の前でカードが消えたり、私自身がシャッフルしたにもかかわらず、彼の思惑どおりのカードの並び順になっていたり、我が目を疑うようなマジックばかりで、へぇ、すごいねぇ、を繰り返してみんなで大いに盛り上がった。

誕生日というのはいつになってもうれしいものだが、こんなに盛大に祝ってもらうとよけいにうれしい。今は独居老人で、周りの人が寂しいだろう等と言って同情してくれるが、私はそれほど寂しくない。それも、こんな風に、何かというとすぐ集まってくれる人びとがいるからだ。1人で住んでいても決して孤立していない。

半世紀以上も生きてくると、誕生日に思うことも大いにある。たくさんの失敗と成功によって今の自分がある。あまり振り返ることをしない私だが、誕生日には心の底に刺さっているトゲのようなことも、うきうきするような楽しいことも思い出して、ちょっと思索する。これまで何百何千という日常の小さな選択の結果が今の私を作ったからだ。

みんな、ありがとう。

これまでの失敗は、笑って忘れてね。
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「子どもは言葉による意識の通路を通してよりも、地下の通路を通して学ぶことの方が圧倒的に多い。」
ルドルフ・シュタイナー
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# by cahiersauvage | 2011-02-12 10:33 | 今日の一言
七歳までは夢の中
松井るり子
学陽書房

この間出会った「輝く人」の口から出たシュタイナー。リトミックの発案者だとばかり思っていたら、かなり深い思想を提示していることが分かって、早速読んでみた。

最初に届いたのが「七歳までは夢の中」。この本はシュタイナー教育を実践している小学校と幼稚園の模様を保護者の目線で記したものだ。私にとっては大変示唆に富む内容で、しかも、私の信じるところについて裏付けを与えられた気がして、気分良くあっという間に読み終わった。シュタイナーは自然の摂理ということを大事にしているらしく、子どもが使う粘土やクレヨンには蜜蝋粘土、蜜蝋クレヨンという、蜂が作り出す蜜蝋を原料とした物を使ったり、教員が身につけている衣服の素材や、子どもが使う布も自然素材の綿や絹を使っている。食についてもなるべく自然の物を食べることを心がけているようで、玄米や野菜スープを醤油だけの味付けで食べさせている。自然が提供してくれる物を感じさせ、ひいては自分とは何かを考え、自分が占める自然界での位置を感じさせるということに繋がると思う。

最初に出会うものは相当な影響があって、それによって良くも悪くも一定の価値観ができるように思う。自身を振り返ってみると、中学の時に初めて英語というものに出会い、その先生が発音する英語の音に私は感動した。以後、私の勉強といえば英語だけで、特に発音と抑揚は美しさを追求した。英語を勉強すればするほど日本語への興味も湧いてきて、大人になって英語の仕事をするようになってからは政治経済はもとより心理学、社会学、環境学、その他諸々も勉強した。世界で初めて青色の発光ダイオードを作ることに成功した中村修二氏は、その著書「怒りのブレーク・スルー」の中で、勉強は自分の好きなものだけすればいい、あとはそれを深めるに従って身に付いてくるものだ、と述べているがまさにそれが私にも当てはまる。

また、私の実家は農家であったため、おかずといえば野菜の煮物や揚げ物ばかりであった。子どもの頃、意識しないうちに本来の味を感じてそれをそうあるべきものとして位置づけられたということは、子どもを育てるときに大いに役に立ったと思う。子どもが嫌いなものでもすり下ろしたり細切れにしたりせずに、大きく切っておかずにした。それを好きになっても嫌いになってもかまわない。要は人参とはどういうものであるか、ゴボウとはどのような味がするものかを分かり、自分が好きか嫌いかを分かることだと思う。

この本の中に「作られたものより生まれたものの方がすぐれている」ということが書かれているが、とても共感できる。新しいものを作るためにはまず(自然界から)生まれたものを観察することは珍しいことではない。

初めて体験することの重要性を感じられる一冊だ。
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# by cahiersauvage | 2011-02-11 08:05 | 本の紹介
子どもはゆっくり大人になってほしい。
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# by cahiersauvage | 2011-02-11 07:08 | 今日の一言
8才になる孫娘とサイクリングをしていたときのことだ。
「あと十年も経てばあなたも友達がいっぱいできて、今みたいにおばあちゃんとサイクリングに行ったり泳ぎに行ったりしてくれなくなるわね。」と私が感慨深く言うと、孫娘は肩をすくめてこう言った。
「十年も経ったら、おばあちゃんはサイクリングや水泳はどっちみちできなくなるでしょ。」
投稿:ジェームズ・エイハン
日本語:野澤
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