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本の紹介: 人間臨終図鑑 I

人間臨終図鑑 I
山田風太郎

少し前から気になっていた作家、山田風太郎。何が気になっていたかといえば、風太郎という名前。本人は風太郎と読ませたかったらしいが、風太郎と読む人が多かったのでそうなった。
伝奇小説、時代小説、推理小説の分野で高名な、娯楽小説の大家らしい。私は初めて聞く名だ。そもそも娯楽小説とか大衆小説を私は読まない。が、この風太郎という名前には惹かれた。これは一所にとどまることのない、常に変化し続けて完成することがない、そういう状態に惹かれる私だからだと思う。

古くはクレオパトラから現代人まで、歴史上の人物から、作家、犯罪者、音楽家、などあらゆる分野の人物の最後の様子を描いた本だ。全部で300人ほどを取り上げて、生涯についてのごく簡単な解説を付した上で、その生涯をどのように終えたか記してある。また、その死にまつわる周囲の反応などが記されている場合もある。

「死を初めて想う。それを青春という。」-山田風太郎
十代で死んだ人、二十代で死んだ人、など、個々の項目の冒頭に上記のような一節が添えてあるが、この一節が、収められている生き様、死に様の描写に奥行きを与えている。

生まれてくる時は場所も時も選ぶことは出来ないが、どのように自分の生を終わらせるか、これはある程度自分の意志を働かせることが出来る。
by cahiersauvage | 2010-07-05 08:50 | 本の紹介